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2022年度 第1回学習会レポート 11月13日(日)

お知らせ

1.302023

2022年度 第1回学習会レポート 11月13日(日)

 みなさま、こんにちは。今年度初めての学習会が開催されました。今回の学習会は、10月の対話集会に引き続き、『コロナ禍でのケアをニューマン理論から考える』をテーマにオンラインで開催し、34名の方が参加してくださいました。今回は、スタッフ、管理者、教員のそれぞれの立場から発表していただき、それぞれの話題について、ニューマン理論の視点からはどのように見えるのか?をブレイクアウトルームに分かれてグループ対話を行ない、その後全体でそれぞれのグループでの対話を共有しました。

 

話題提供① スタッフの立場から

「忙しい現場において数分の中での患者・家族と相互交流を意識した関わり」

北里大学病院 神谷 芳絵さん

 神谷さんは、コロナが流行し始めた2020年の学習会に参加され、「私たちは元に戻ることはしない」というニューマン先生の言葉から、それまでどうしたら元の生活に戻れるのかという視点でもがいていた自分に気づき、見方を変えることにより、混乱状態の中に進化の可能性を感じ、気持ちが解放されたそうです。そして、その後ニューマン理論を意識して看護に取り組まれ、今回、限られた短い時間の中でも患者家族との相互交流を実感された事例を発表してくださいました。事例の内容は、コロナに伴う制限で手術が2週間延期になり、病状進行への不安が増しカオスに陥っている患者と家族に、医師からの説明後に面談し、神谷さんが患者の思いを受けとめることによって、家族から患者に話すことが促され、患者はこれまでの人生を振り返り、自分のパターンを話し、これからの生き方を語りました。この面談は、10分程度だったそうです。コロナ禍になり発熱対応などで業務量が膨らみ多忙を極めている外来の臨床の場でも、患者・家族と相互交流を意識していると、病状治療方針の説明の同席という業務のなかでニューマンケアが実践できることを紹介してくださいました。

【グループ対話】

 3つのグループでニューマン理論の視点について対話が行われました。そこでは、この事例のなかで患者のパターン認識はいつだったんだろうかということをみんなで考えたり、患者にどう話すのかではなく、どう感じるのかが大切であるということや、看護師は豊かな環境であることや、看護師から家族へそして患者へと共鳴していくことが確認されました。

 

事例提供② 管理者の立場から

「理論を軸にもつことでCOVID-19パンデミックの渦中にみえたこと」

 JA神奈川県厚生連相模原協同病院 高野 美子さん

 高野さんは、コロナの感染状況によって病院の体制が頻回に変わるなか、主任という管理者の立場で経験されたことを発表してくださいました。COVID-19によるパンデミックとなり、国も人も全ての状況が混乱した状況のなか、高野さん自身もその波にのまれていましたが、ニューマン理論による全体性で状況を捉えてみると、この混沌とした状況は、大きなゆらぎの時と見え、そこからは後戻りすることはなく、一方方向に進む成長の時とみることができたのと同時に、管理者としてスタッフを守ってあげなくちゃと一方的に頑張り、周囲の環境と閉鎖的になっている自分のパターンに気づきました。そこからは、自分を開放し、意識的に自分のあり方を変え、対話を重視していくことで、管理体制のパターンが管理者からスタッフへの一方向の交流しかなかったものが、管理者とスタッフ、スタッフ間同士で双方向に交流されるかたちに変化したそうです。ニューマン理論に導かれたこの体験により、管理者としてぶれない軸も得られたという貴重な体験を発表してくださいました。

【グループ対話】

 管理者の立場の方が集まったグループで、ニューマン理論の視点について対話が行われました。そこでは、病棟のパターンを掴むことが大切で、ニューマン理論は管理にも有用だと確信されました。

 

事例提供③ 教員の立場から

「コロナ禍で祖母の入院と学業の両立とで苦悩する学生と教員の関わりについて」

鹿児島純心女子大学 看護栄養学部看護学科 浅野 倫子さん

 浅野さんは、コロナ禍に養育者である祖母が入院したことで、大学を休むことが多くなり進級が危なくなった学生との関わりについて発表してくださいました。両親に変わり育ててくれ、今は認知症を患っている祖母が入院してしまい、コロナ禍であったため面会もできず、認知症の症状が進行し自分のことを忘れてしまうことへの危惧や祖母との時間を過ごすことができずこれが最後かもしれないという思いもあり、身動きが取れず誰にも助けを発信することもできずに苦しんでいる学生に、浅野さんは学生の力を信じて対話をしたことで、学生の気持ちが拓かれ、大切にしたいことに気づき、周りに助けを求めてもいいことや相談できる人がいることを改めて認識することができました。その後、その学生は、周囲の助けを得ながら学業と祖母との生活を両立されているそうです。教員である浅野さんが、ニューマンが提唱する「クライアントの力を信じ寄り添う」という、学生の力を背景などに関わらず、きっと乗り越えることができると信じ寄り添ったことで、学生と共鳴し、学生が自ら進化成長していく姿を発表してくださいました。

【グループ対話】

 2つのグループでニューマン理論の視点について対話が行われました。そこでは、この事例では浅野さんと学生が共鳴したことがポイントとなっていることが確認され、学生の力を信じ寄り添うことの重要性について共有されました。

 

 学習会の始めに三次理事長が「ニューマン理論を学ぶ上で大事なことは、この理論がア・プリオリセオリー(理論が先導して実践がうまれる)であることです。ニューマン先生は、理論をもって目的的に実践に違いを生みだすことを強調しておられます。」と話されたように、今回発表された3名は、コロナ禍で混沌とした状況のなかでニューマン理論をもとに実践し、変化をもたらしていました。今度は自分が実践しようと背中を押される学習会となりました。

(文責)飯尾 友華子

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