特定非営利活動法人 ニューマン理論研究・実践・研究会

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設立趣意書

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Prospectus for establishment

特定非営利活動法人(NPO) ニューマン理論・研究・実践研究会
設立趣意書



私たち看護師は、米国の看護理論家であり教育者であるマーガレット・ニューマンの健康の理論に導かれた実践と研究の推進をめざし、日本国内においてすでに10年近く研究会活動を継続して参りました。すでに150名を超える会員を擁しておりますが、近年は実践家看護師らの関心が高まっており、新しい会員が増えております。

この事実は、米国同様に我が国においても高度化・専門分化していく医療現場で働く実践家看護師らが、病を得て窮地に陥っている患者・家族に心を込めて寄り添い、患者・家族に喜ばれる体験を通して、この理論に導かれた看護ケアの有効性と重要性への気づきを表していると確信しております。

ニューマン理論は、米国で生まれたとはいえ、今日では世界中に拡がり、様々な看護実践と教育の場で展開されております。日本においてもさらにこの理論を展開し、社会に還元していくことは有益であると考え、もって、この研究会をNPO法人として立ち上げ、日本の医療・看護に資することを目的とします。


ニューマン理論の底辺に流れる考え方は、私たちのめざす看護ケアに欠くことができないことであります。ニューマンは、20代の初期から約5年間にわたり、筋委縮性側索硬化症で身体の動きをまったく喪失してしまった母親のケアをする過程で、母親は回復の望みはまったくないとしても、他のすべての人々と同じように全体的な存在としての人間であることを学びました。

ニューマンはこの母親との体験を通して、どんなに辛く忌まわしい病気体験であっても、それを意味ある体験にする力が、人間にはあることを悟りました。それには、患者とその家族が自分たちの内部の力に気づくことが必要であり、この点において看護師が支援するのが、看護の真髄であると主張しています。すなわち、看護師の責任は、人々を健康な状態にしたり、病気を予防したりすることに留まるのではなく、より成長・成熟していくために、人々が自分の内部の力を使うことができるように援助することであると言明しています。


ニューマンの言は、サービスの受け手である患者・家族・地域社会の人々が医療の主体であるという考え方に改めよという呼びかけであります。看護師が疾患のみに目を注ぎ、忌まわしいものとしてそれを捉えるならば、疾患はそれだけのものであり、それ以上の意味は決して生まれません。疾患や症状を排除したり緩和したりすることに精魂を傾けるならば、患者と家族も治療が効果をあげているかに気をとられることになり、もし治療効果が得られなければ、病気体験は実に辛いものとなるでしょう。患者と家族が病気体験に意味を見出す機会も遠ざかってしまいます。

看護師である私たちは、人間の全体に注目する看護モデルに基づいた独自のものの観方、考え方、価値規範を踏まえて、サービスの受け手に向き合うことを求められています。このことは医学や他の保健医療領域の学問とその実践を無視するものではありません。それとは逆に、それぞれが生かされて、さらに相乗効果を上げることに結びついていくと私たちは考えています。


NPO法人ニューマン理論・研究・実践研究会は、患者、家族が辛い体験の真っただ中にあっても、生きることの意味を見出すのを助けることが可能となるような看護ケアを、人々の賛同と協力を受けて社会の中に拡げていく所存であります。



2015年10月25日

設立代表者
遠藤 惠美子

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